LosSantos AutoMagazine

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官能的なイタリアの情熱。進化するフラッグシップ。2013年式 ランパダーティ チンクエミーラ

ランパダーティ チンクエミーラ

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ランパダーティ。その響きはこれまで多くの車好きを虜にしてきた。1957年に登場したカスコはそのボディの美しさからイタリアを中心に欧州で大ヒット。続くミッチェリGTは1966年から4年間ヨーロッパツーリングカー選手権のチャンピオンとなり世界にランパダーティの名を轟かせた。

ランパダーティはラリーの世界にも進出し、会社の威信を賭けて作られたトロポスラリーはWRCのタイトルを3年連続獲得。近年でもラリークロス大会に個人所有のトロポスラリーが出走し、好成績を残している。

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2009年開催されたブレイン・ラリークロスで優勝したトロポスラリー。
GB200やサルタンの猛追を見事に退けた。

そんな数々の伝説を残してきたランパダーティのフラッグシップを2003年より長年務めてきたのがフェロンである。

美麗なフォルムの4ドアサルーンにグロッティ製V8エンジンを搭載したこの車は官能的なサウンドと落ち着いた大人の走りで国内の上流階級を虜にした。2005年の国内での輸入車高級セダンではベネファクター・シャフター、ウーバーマフト・オラクルに次ぐ売れ行きを記録。ランパダーティはアメリカでの売れ行きを大きく伸ばし、ロスサントスでもフェロンは日常的に見られるようになった。

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LSでもダウンタウンやバインウッドでは必ず一度はフェロンを見かける。

そんなアメリカにおいて大ヒットをマークしたフェロンであるが、10年モデルチェンジが行われず、2010年代に入るとフルモデルチェンジを果たしたシャフターやオラクルのみならず、オベイ・テイルゲイターなどの新型車には敵わず販売が徐々に落ち込んでいた。そこでランパダーティは2013年、多くの新型車を発表。新世代の幕開けと称し新生ランパダーティの第一弾として販売が開始されたのがチンクエミーラであった。

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スペック

全長:5262mm
全幅:1948mm
全高:1481mm
ホイールベース:3171mm
車両重量:2060kg
エンジン:3.8L V8 DOHC 32バルブ ツインターボ
排気量:3798cc
最高出力:530hp/6800rpm
最大トルク:650Nm/2000rpm
トランスミッション:8AT

 

私がこの車と対面したとき、一目で心を奪われてしまった。それほどまでにこの車のボディーラインは魅力的で、妖艶で、本当に美しい。

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これまでヴィセリスやカスコを見たり、試乗したりしてきた私ではあるが、この車の美しさはこれまでのランパダーティ車の中でも群を抜いて素晴らしいと思う。気品に満ちたプロポーションと情熱を感じるボディーラインはまさにランパダーティであり、フラッグシップとして相応しいものに仕上がっている。

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ただインテリアは他の高級セダンと異なり雑さが否めない。この点はフェロンから変わっておらず、外装の美しさが素晴らしいだけに残念なポイントでもある。ただ今回試乗したのは中級グレードのGTSであり、スクードという最高グレードでは本革レザーシートやカーボンファイバー仕立てのセンターコンソールなど内装のレベルが格段にアップしているそうだ。

内装の残念さは置いておくとして筆者が大いに驚いたのは広さであった。それもそのはず、先代のフェロンより幅が50㎜、全長も100㎜拡大しており室内空間は広くなっている。

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後部座席も広々としており、運転手付きの要人が使用することも考慮しているのであろうかと考えられる。実際リバティーシティにあるイタリア大使館の公用車はフェロンからチンクエミーラに変更されたのが先日判明しており、ショーファードリブンとしても活躍しているようだ。

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車内同様トランクも広々としており、簡単にゴルフバッグを積むことができる

さて気になるのがエンジンだ。一時期グロッティの傘下にあったランパダーティはそれ以来グロッティと業務提携を結び、フェロンにもグロッティ・ツーリスモと同型のエンジンが搭載されていたが、チンクエミーラにもその流れは受け継がれている。今回のGTSにはグロッティが開発した3.8L V8 DOHC32バルブツインターボエンジンが搭載されており、同時期に発表されたカルボニツァーレと同じエンジンを搭載している。最低グレードが搭載する3.0L V6 DOHCツインターボエンジンもグロッティとの共同開発で、いかにランパダーティとグロッティの関係が深いかが分かる。

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さて、待ち兼ねた試乗の時間だ。始動スイッチを入れると迫力のあるV8サウンドを轟かせる。が、そのエンジン音は案外落ち着いており、私は少し拍子抜けしてしまった。フェロンの目覚めの咆哮と比べると静かであるが、それもそのはずでチンクエミーラではダウンサイジングが行われており、燃費の面を考えるとフェロンのような快音はあまり出せない。また車内の静謐性がフェロンと比べて格段に向上していることも理由の一つだろう。少し物寂しくもあるが、今回のエンジン音でも同価格帯の車の中で最も迫力ある音だと思う。

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パドルシフトを用いて高回転でギアチェンジするとアフターファイアが発生する。

まずは街中を流す。低速域ではフェロンと同様若干の落ち着きのなさを感じる。イタリア車の愛嬌と言ってしまえばそれまでだが、シャフターやオラクルに対抗するのであればこの点の改善は今後必要となってくるだろう。しかしスピードを増すごとに車は徐々に安定してくる。ショーファードリブンとしての使用を想定しているもののやはり本質はドライバーズカーであり、操る楽しさを感じさせる。

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高速に乗るとその楽しさはますます増した。直噴V8ツインターボの生み出す強烈なパワーは往年のランパダーティ車にある楽しさをダイレクトに伝えてくれる。そしてとにかく速い。車重が2トン以上もあるとは思えないほど恐ろしいスピードで加速する。

1800回転を過ぎたあたりから仰け反るような加速を見せ、ランパダーティによると0~100㎞/hで5秒を切るらしい。アクセルを踏み込むとさっきまで並んで走っていたアセアが一瞬の内に遥か後方へと消え去ってしまった。

電子制御の8速ATは回転数に合わせ滑らかな加速をしてくれる。勿論運転を楽しむ人のためにパドルシフトもある。しかしシフトダウンをすると少々セッティングの雑さが気になってしまうのは残念な点である。

郊外の方へ走り出すとLS市内では快晴だった天気が一変し大雨が降りだし、私はそこで少々不安を感じていた。それはフェロンではハイパワーFR特有のウェット状態でトラクションが不安定になってしまう問題が発生していたからだった。しかし、それは杞憂であった。大雨の中でもタイヤはしっかり地面を掴み、トラクションの不安感も感じられない。

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この雨の中スポーツモードを起動する。一昔前のランパダーティ製スポーツセダンなら後輪が空転してしまうであろうが、この車はドライと同じ感覚で操縦ができる。ランパダーティの進化をひしひしと感じたテストドライブであった。

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金持ちが乗る高級車といえばドイツ車という風潮が世界的に見てもあるが、情熱とロマンがたっぷり詰まったこのチンクエミーラはそれらの風潮を打ち消すことができるだろうか。

私の出す答えは否だ。ショーファードリブンとしては欠点が多く、乗り心地ではベネファクターが、ドライバーズカーとしてもトラクションや走る楽しさを感じられるのはウーバーマフトがやはり勝っている。しかしこの車にしかない素晴らしいポイントがある。それはデザインだ。結局のところこの車のデザインに一目惚れしたならベネファクターもウーバーマフトも比較対象にはならない。いつの間にか契約書にサインをしているだろう。私はもうサインをしている。